特集 第6回 浅田 みゆき さん 「 着 物 革 命 ~ 洋 服 感 覚 で 楽 し む 着 物 ~」

「 着 物 革 命 」~ 洋 服 感 覚 で 楽 し む 着 物 ~ 浅田 みゆき さん1985年アパレルメーカーを退社後、1986年に ㈱新装大橋入社 。その後出産などで一時休職、復<br />帰を経て現在に至る。アパレルメーカーでの経験を活かし、「着て楽しい着物」をテーマに小物、<br />バッグ、帯などを企画している。社会人と大学生のお子さん2人を持つ母でもある。

ーお洋服を着替えるのと同じように、着物を楽しみたいという思いを実現してこられた「新装大橋」の浅田みゆきさん。今日は、新商品の開発も兼ねて会津の坂本これくしょんにお越しいただきました。着物業界の革命、デニムという素材で開発に携わった浅田さん。坂本理恵とデニムの着物への想いなどをお聞きしたいと思います。

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坂本理恵――― こんにちは。わざわざ会津までお越しいただきありがとうございます。浅田さんの今日の「デニムの着物」も素敵ですね!私は、大好きな洋服感覚で着られる「革の着物」を着ました。 私、この着物を見た時、一目ぼれだったんです。でもね、着物...、着られない。躊躇したんですよね。でも、浅田さんが着付けは必要ないですよ。洋服と同じですよ!と後押ししてくださって。着たら、楽なんです。

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浅田さん――― そうでしょう。もう、洋服と同じですよね。「革の着物」はものすごく素材にこだわっているアパレルの会社に頼み込んで作ってもらったんですよ。最初は断られてね。でも、あきらめませんでした(笑)

坂本理恵――― その前に商品化された「デニムの着物」も本当に着ていて楽です。私は今までお着物というと、婚礼の留袖や色留袖などフォーマルな着物しか着る機会がありませんでした。そして、後片付けのことを考えるとそれすらも中々着ようと思えませんでした。この着物が誕生するまで、着物はシャネル以前の洋服と同じだったと思うんですよ。
でも、「シャネルがコルセットから女性を解放したようなことが着物に起きた!」と思いました。

浅田さん――― 最初、デニム素材を使った理由は、
①家庭の洗濯機で洗える。 ②洋服感覚で気軽に着られる。
③着ていて、ラク。 ④オールシーズン着られる。 ⑤男女問わない。
というので採用したんです。もちろん、絹には絹の良さがありますが、緊張して着なきゃいけない。汚しちゃいけない。と思ってしまうでしょ。現代人の着物の入り口としてはデニムが最適ではないかと。

坂本理恵――― オールシーズンというのは大きいですよね。浴衣はどうしても夏だけですものね。

浅田さん――― デニムだとね、夏は中にTシャツを着たり、春と秋はブラウスやワイシャツ、冬はセーターを合わせる。ジーンズとコーディネートしていたお洋服やアクセサリーは全て合うんですよ。デニムの着物一枚と帯一本で後は手持ちのものをコーディネートすればあっという間に「変身」できる!そんな手軽さが裾野を広げていると思います。
でも、帯を結ぶという1つの壁があったんですけど、専務さんと商品開発したこの「革の帯バッグ」が本当にその壁を取り除いてくれたんです。「5分で着れます」というキャッチコピーがうそじゃない!
締めやすくて、楽で、物も携帯できて、シワにもならない。ベルトのようです。 これを開発したことで本当の意味で着物は洋服と同じになったかなぁ~と思ってます。

坂本理恵――― ありがとうございます。浅田さんと出会わなければこれも考え付きませんでした。ある時、デニムの着物を着て出席するパーティーがあったんですよね。でも、自分はデニムの着物に合う帯を持っていなかった。さすがにフォーマルの着物に合わせた帯じゃちょっとおかしいですものね。それに、「結べない」。そこで、そうだ!坂本のバッグの革を使ってベルトのような帯を作ろうと思ったんです。
細かな使い勝手は全て浅田さんにご相談して...。無地じゃつまらないから、ついでに蒔絵もしてしまいました!

浅田さん――― 商品開発のきっかけって、私の場合全て「自分が持ちたい。身につけたい!」これが発想の原点なんですが、専務さんもそうですよね。だから、一緒にものづくりが楽しめるんです。
そして、意外性が大好きなんです。こんなの持ってる人いないよな、みたいな。

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坂本まどか――― この、「雲のクラッチ」もそうですよね。最初に、名刺やSuicaが入るサイズを作った。次にクラッチも作ってと浅田さんからご提案があり作ったのですが「まどかさん、もっと大きくしましょうよ」と。
自分では踏み切れなかったサイズを提案してくださる。
「こんな雲のカタチのこんなサイズのクラッチ持ってる人いないでしょう?」と、この意外性が本当に楽しいです。

浅田さん――― 私は「雲のカード入れ」をいつもバッグにつけています。Suicaや名刺を入れて。みんなに「なにそれ?」っていわれるんですよ。
だから、バッグの付属ではなく、単体でバッグになるような「雲のクラッチ」が欲しかったの。次回は、帯にはさめ、紙幣が入る「雲の帯財布」も欲しいなと...、今度、作りましょうね(ニコニコ)

坂本理恵・まどか――― 浅田さんに言われると、本当に次回まで一生懸命作ってしまうんですよね。浅田マジック(笑)
多分、他の作り手達も「浅田マジック」にかかってるんでしょうね。

浅田さん――― 私、思い込みが激しくてね、坂本これくしょんの作品もギフトショーで拝見して「これだ!」って思ったの。

坂本理恵――― ありがとうございます。でも、最初は本当にとまどいました。私はファッションは大好きですが、着物の感覚、知識を何ももっていないので。浅田さんは何故着物の世界へ?

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浅田さん――― 私は最初アパレルの仕事をしていたんです。その時「新装大橋の撫松庵」を見つけたんです。
今まで見たことのない着物たちだった。本当に「すごい!こんな着物があるんだ。私ここで働きたい!」と思ったの。
それから、着付け教室に通って、募集していないのに新装大橋に応募して、思ったら突き進む(笑)

坂本理恵――― 夢をかなえるための思い込みは大切ですよね。でも、浅田さんがアパレルのお仕事をなさっていたからこのような自由な発想の着物を開発できるんですね。

浅田さん――― 着物って、本当にすばらしい世界なんです。染め、刺繍、色重ね、季節感etc.日本の文化の象徴です。でも着る人が減少して、着物職人の危機が訪れています。いったん途絶えたものは中々復興できない。
だから、私たちは着物に魅力を感じてもらう為の入り口も作らなければならないと思っています。それが「デニムの着物」だったんです。

坂本理恵――― 浅田さんと出会い、着物のお仕事をさせていただくうちに、「着物ってすごいな」と改めて思うようになったんですよ。体型も選ばないでしょう。反対にふくよかな良さが出る!
近頃、男性も(新装大橋の会長、社長、社員の方はもちろんですが)着物をオシャレに着こなしている方が多いですよね。
少し前までは、お着物をお召しの男性は、茶人や文化人かな?なんてイメージでしたけど。

浅田さん――― そうなんですよ。若い方からお年を召した方まで、それぞれ楽しんでいらっしゃる。
特に中高年の方は、「若い世代に声をかけてもらえるんだよ!着物カッコいいですね!とかね。」とおっしゃるんですよ。
世代を超えて会話が始まり、弾むことで双方の世界が広がるそうです。
そして、次の着こなしのアイディアが色々わくみたいですよ。

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坂本理恵――― 楽しんで着るって重要ですよね。話は変わりますが、浅田さんとプライベートのお話をする機会が度々ありますが、お料理も上手で、社会人と大学生のお子さんもいらして、本当にすごいなって思うんですよ。将来の夢などありますか?

浅田さん――― 夢ですか?年を重ねても素敵な女性でいたいと思うんですね。
街を歩いていて、白髪に赤のパンツを着こなした女性を見て、私もこうなりたいなと思いました。
その為にもおいしい物を食べて、体調を整え健康でいる。いつまでもお化粧してオシャレして。それもあって食べるものには気を使うようになりました。もともとアレルギー体質だったり、子供にアトピーがあったりで。
口から入れるものは農薬などを使わない自然のもの、添加物のないものがいいと思いました。
なんか、お料理は無心になれるんです。何でも興味を持ったものを楽しむっていうのがいいのかも。オシャレと一緒でお料理は楽しいんですよね。

坂本理恵――― 私も健康でいたいわ。今日は楽しいお話を本当にありがとうございました。

革に蒔絵の帯。 お太鼓の部分はバッグにもなっており、貴重品を持ち運ぶのにも便利。
詳しい情報は新装大橋・撫松庵様ホームページへ。 http://www.bushoan.co.jp/index.html

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ショッピングですかね。
常に新しいもの、楽しいものを見つけたいです。
娘と一緒に買い物に行くと、もう帰りましょうと言われます(笑)
そのくらい、時を忘れてウィンドウショッピングを楽しんでいます。

※写真は2014年坂本まどかと新宿伊勢丹前にて撮影。

(聞き手・撮影/坂本まどか まとめ/坂本みゆき)

 

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