坂本乙造商店 伝統を受け継ぎ進化させるプロフェッショナル
伝統を受け継ぎ進化させるプロフェッショナル
坂本乙造商店は、漆の老舗です
1900年設立。老舗の漆精製・漆製品問屋だったが、78年に坂本朝夫が3代目社長に就任、問屋業から独自の製品づくりへと経営方針を転換。
その後、漆工芸の枠を超えた作品が話題を呼び、ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクション、フランクフルトのメッセでデザインプラス賞など、数々の受賞歴を誇る。国内外の有名企業のトップが直々に訪れ、限定品などの製作依頼は数知れず。
伝統の素材・技術を現代に活かす
漆に秘められた無限の可能性を追求します
日本の誇る伝統工芸、なかでも漆工芸にかかわるさまざまな差財と技術に接するとき、先人たちの知恵を感じずにはおれません。
われわれは、このすばらしい素材と技術を保存や伝承という従来の概念にとどまらず、最新の素材と技術とを融合させて現代の人々の暮らしに役立てようと、ひたすら「伝統を現代に活かす」を企業理念としたものづくりを進めてまいりました。
漆の素材特性と漆工芸技術を生かした独自の作品は、まず海外で絶賛
「自分が欲しいモノだけをつくろう」と決めたのです
万年筆、カメラ、オーディオ、家電製品、インテリア、仏具、携帯電話、自動車、航空機などなど。たとえばカメラ。依頼されれば全機種を買いそろえ、徹底的に使い込む。自分で分解し、部品素材を調べ、組み立てて原理を学ぶ。さらにマニアの域まで使いこなす。そのうえで、自分を喜ばせる機能、デザインを考え、美観と実用を兼ねたかたちにしていく。
「海外で生産できるものは作らない」
「職人さんとバッティングするものはつくらない」
「大手企業が参入する分野は避ける」
伝統産業の未来を切り開く、まさにイノベーティブなチャレンジを続ける技術と製品。従来の枠にとらわれない斬新な発想と漆工芸に対する愛着から生み出される芸術的なぬくもりを持った多様な製品を次々と生み出している。
このほかにも、漆を様々な素材に融合させた工業製品を展開。その高度な技術と洗練されたデザインは、国内外から高い評価を得ており、伝統産業を現代に生かした先駆者的な存在として、確固たるポジションを築いている。
平成17年「第1回ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞を受賞
平成18年「明日の日本を支える元気なモノ作り中小企業300社」受賞
航空機内装用FRPに対する金属溶射と漆芸技術を組合わせた
伝統産業である会津塗漆加工技術・グラム単位の均一な金属溶射技術により、FRP(繊維強化プラスチック)素材への美観と耐火性を併せ持つ表面処理を実現。アメリカ連邦航空局(FAA)が定める航空機耐火性基準をクリアし、日本航空機ファーストクラス(ボーイング747、777)のシートに採用されている。このほかにも、漆を様々な素材に融合させた工業製品を展開。
2008年 GOOD DESIGNで「箱家」がグッドデザイン金賞を受賞
会津の職人技を結集した、部屋の中に組み立てる和室
坂本乙造商店は先進性のある製品づくりに努め、ニューヨーク近代美術館のコレクションにも選定されています。「箱家」は宮大工を始めとする地元の職人技を結集して、相当しっかりとした、本格的な作りを実現しました。和室がどんどん消えていく都会生活に、そのよさを残したいという強い気持ちがあったのでしょう。それを部屋の中に組み立てる、もう一つの部屋として製品化しています。 (審査ユニット長 益田文和・談)